エエ語!the BLOG

「高3の英語力は中卒レベル」という結果について2015.03.18

高3の英語力、中卒級=「書く、話す」に課題―文科省(時事通信)

文科省の英語教育審議会はこの結果をどのように見るのでしょうか? 残念ながら、私はこの結果に納得がいく気もします。中高での英語教育が『コミュニケーション』重視になってかなり経ちますが、その結果がこれだと思います。 『コミュニケーション』重視でリスニング力は伸びたのかもしれませんが、英語が耳には入ってくるけれど、それがどんな意味なのか、どんな内容の話なのかわかっていないので、それに対して意見を言ったり、要約して英語で書くなんて到底できない・・・

最近の英語の教科書には、日本語訳がついた語彙集がついています。デジタルネイティブの子ども達は電子辞書やオンライン辞書で調べることもいとわないと思いますが、それすらしなくて良いように甘やかしています。電子辞書やオンライン辞書を自分で調べてみて、教科書で使われている以外の意味や例文を見る、発音の音声を聴くという受動的な学習が必要です。

私が教えている関西の中学生の実態としては、私学では公立に比べ、New Horizon, Crownなどのテキストの進み具合が早く、公立中学生の場合、塾で習っていることが私学の進み具合と同じくらいという状況です。中学でもこの状況なので、今回の調査対象だった高校では、塾に通っている生徒と行ってない生徒では学力に差が出ているのは間違いないと想像します。

先日も「中学英文法の知識で、英語の大学入試問題の79%が解答可能」という調査結果が出ていました。それほど大切な中学英文法なので、すべきことをすべきタイミングで習得させておいて、その基礎をベースに難しい問題や英文にチャレンジすることが大事だと思います。また、難易度や複雑さの高い英文も文法的に理解できるよう、いつまでも付いて回る基礎の中学英文法は、“英語”ではなく、“日本語”で習得させることが必要だと思います。

そして、高度で複雑な長文を“読めない”、”読解できていない”というのは、たとえ文法的に解釈できたとしても、その英語を母語である日本語で理解できないのです。これは、英語のテキストを訳読することを”毒訳”と考え、英語を英語として理解しているだろうという希望的観測で、その英文の意味を確認することなく、おそらく音読もさせずに、ただ英語の文章を目で追わせるだけでしょう。そんな授業では、大まかに何が書かれているのか理解したり、日本語で要約することはおろか、英語でサマリーを書くなんて絶対に無理です!

たとえ短い文章でも、その日本語の意味がわかってこそ、自分でその英文を使ったり、応用したりできます。日本語が母語である場合、英語で文法説明されたり、ALTがいてonly Englishの授業を受けたところで、英語の音に耳は慣れるかもしれませんが、話す、読む、書くという残り3つのスキルが伸びるとは思えません。

自分で単語を調べ、和訳も英作もして、暗唱もさせる、つまり生徒を甘やかさず、受け身の姿勢をやめさせて、能動的に学習させる・・・少し愛のムチを与えないと、中高生、そして大学生の英語力は向上しないと思います。

何よりも残念なのは、英語嫌いの生徒が60%近くもいるということです。英語の授業を英語でやって、ますます理解ができなくなれば、この数はもっと増えることでしょう。手遅れにならない内に、文科省が英語教育の方針を現実的に見直し、軌道修正してくれることを願ってやみません。

[この記事にコメントをする]

1 2 3 6

▲このページの上部へ